学校法人会計 AtoZ
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科研費補助金の会計処理
今回は、文部科学省より科学研究費補助金(以下「科研費」)が交付された際の会計処理について解説します。


科研費は、大学の帰属収入にはなりません。
なぜならば、科研費は、研究者や研究グループに対して助成するために交付される補助金であり、大学に対する補助金ではないからです。


従って、大学に入金があった場合でも、受け取った金額は「預り金」で計上することになります。


ここで、科研費補助金には、「直接経費分」と「間接経費分」からなります。


直接経費分は、研究そのものに係る経費に充てるための補助金です。


一方の間接経費分は、「研究代表者が所属する研究機関が研究遂行に関連して必要とする経費」であり研究機関の管理等に充てるための補助金です。
つまり、最終的には研究機関の管理者である学校に支払われる補助金であるわけです。


従って、大学に入金された科研費補助金は、直接経費分、間接経費分ともにいったん研究代表者等に交付しますが、その後、間接経費分は研究代表者等より大学に納付されることとなります。


この、間接経費分を入金した際の会計処理あたっては、「補助金収入」ではなく、「雑収入」に計上していきます。
あくまで補助金という名目で交付を受けるのは研究代表者等であり、学校は二次的に研究代表者等から金銭を受け取ったに過ぎないからです。


【仕訳例(消費収支仕訳のみ)】

1.科研費補助金受取時(直接経費分A円、間接経費分B円)
(借方) 現金預金 A+B (貸方) 預り金 A+B

2.研究代表者等へ交付時
(借方) 預り金 A+B (貸方) 現金預金 A+B

3.間接経費分受取時
(借方) 現金預金 B (貸方) 雑収入 B

中高一貫校等の入学金の減免
中高一貫校等では、中学から高校に進学する場合に、入学金を免除することが多いと思われます。
この場合の入学金の会計処理はどのようにすればよいでしょうか。


入学金は授業料と同様に学校法人における基本的な行為に伴う収入なので、原則としては総額表示が求められます(総額表示の方法については過去の記事で解説しています。過去の記事はこちら)。


しかし、同一学校法人内での進学の場合、同一学校法人内での単なる移籍としての意味合いが強いと考えられます。
また、同一学校法人内ですでに一度入学金を徴収していますので、再度、総額的に収支を認識する必要はありません。


従って、この場合の入学金の免除については、収入がありませんので、特段、会計処理を行う必要はありません。


ただし、学則によって進学者からも入学金を徴収することとなっており、その上で何らかの理由で徴収しなかった場合などは、総額表示のための会計処理を行う必要があると考えられます。


会計処理に当たっては学則を確認の上、判断する必要があると考えられます。


【参考】「授業料等の減免に関する会計処理及び監査上の取扱いについて(学校法人会計問答集(Q&A)第1号)」Q&A5


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