学校法人会計 AtoZ
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寄付金と補助金の違い
学校法人会計において、寄付金収入と補助金収入をどのように使い分けて処理していくかは、ルール自体は単純ですが、誤りの多い会計処理です。


寄付金収入に関する会計処理及び監査上の取扱い(学校法人委員会報告第39号)によると、

『寄付金収入とは、金銭その他の資産を寄贈者から贈与されたもので、補助金収入とならないものをいう。寄付金収入と補助金収入はともに、金銭その他の資産を寄贈者から贈与される点では共通性があるが、補助金収入とは、国又は地方公共団体及びこれに準ずる団体から受入れたものであり、それ以外から受入れたものは寄付金収入として区分している。』
と解説されています。


従って、ルールはいたって簡単で、国又は地方公共団体からの金銭等の贈与は「補助金収入」、それ以外の例えば業界団体等からの金銭等の贈与は、たとえ名目が補助金であったとしても「寄付金収入」として処理することになります。


【参考】寄付金収入に関する会計処理及び監査上の取扱い(学校法人委員会報告第39号)

基本金の「組入」「取崩」
基本金の処理を行う上で、各号の基本金が「組入」になるのか「取崩」になるのかは、意外に間違いの多いところです。


『学校法人会計問答集(Q&A)第16号 基本金に係る実務上の取扱いについて 3-4』によると、以下のような記載があります。

①当年度の組入れ、取崩しの内訳を記載し、基本金の各号ごとに計算して組入れが多い場合は「当期組入高」、取崩しが多い場合は「当期取崩高」として記載する。

②第2号基本金から第1号基本金への振替については、上記の計算に含めることなく「当期組入高」の中で取り扱う。

③各号の「当期組入高」を合計した額が合計欄の「当期組入高」と一致し、各号の「当期取崩高」を合計した額が合計欄の「当期取崩高」と一致する。


このうち、②の記述がこの処理をわかりにくくしているところです。


以下、説例を使って検討してみましょう。
【説例】
・従来より新校舎建築計画に基づき、3億円の第2号基本金の組入を行ってきた
・当期、新校舎(取得価額5億円)が完成したため、3億円を第2号基本金から第1号基本金へ振り替えた
・他の計画による第2号基本金の当期組入が1億円あった
・その他の基本金組入対象資産の異動は無かったとする


各号の基本金ごとに計算を行っていきます。
まず、第1号基本金について、実際の第1号基本金は、新校舎の取得価額の5億円だけ増加することになります。
しかし、上記の②の記述により「組入高」又は「取崩高」を計算する際には、第2号基本金からの振替は計算外とします。
従って、
{5億円(新校舎)-3億円(2号基本金からの振替)}=+2億円→組入高
という計算が正確な考え方になります。


次に、第2号基本金について、実際の第2号基本金は、第1号基本金へ振替えた3億円が減少し、他の計画による組入1億円が増加しますので、差し引き2億円だけ減少することになります。
しかし、この場合も「組入高」又は「取崩高」を計算する際には、第1号基本金への振替は計算外とします。
従って、
{-3億円(1号基本への振替)+3億円(1号基本金への振替)}+1億円(他の計画による組入)=+1億円→組入高
という計算が正確な考え方になります。


第2号基本金については、基本金残高が減少しているのに、組入額となり少し違和感があるかもしれませんが、このように考えていきます。


上記説例の基本金明細書の記入イメージは以下のようになります。

第1号基本金
前期繰越高    ×××
当期組入高
 建  物 
  校舎建築   2億円
  2号基本金より3億円
 計         5億円
当期末残高    ×××

第2号基本金
前期繰越高    ×××
当期組入高
 ○○計画    1億円
 1号基本金へ △3億円
 計        △2億円
当期末残高    ×××

合  計
 前期繰越高   ×××
 当期組入高   3億円(1号2億円+2号1億円)
 当期末残高   ×××


【参考】http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/001/002/004/003.htm


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